四月一日は疲れていた。昨夜は夜遅くまでバイト先で掃除をさせられたあげく、家に帰れば恋人である百目鬼が待ち伏せていて朝まで寝かせてもらえなかった。しかも見た目よりも食い意地の張った恋人は、しっかりと翌日部活に持っていく弁当を強要し四月一日はゆっくり眠る事が出来なかった。
「……あー…疲れた……」
百目鬼を部活に送り出し、四月一日は再び布団の中へと潜り込む。どうしてこんな、休日の朝からぐったり疲れなければならないのだろう。すっかり冷えた布団の中で、もぞもぞと横を向いて体を丸める。ほっと一息ついたつもりが、思った以上に深いため息が出たことに四月一日は苦笑した。
(……アイツ、部活何時頃終わるのかな…)
弁当がいるという事は、確実に昼を過ぎるまでは帰ってこないだろう。別に二人は一緒に住んでいる訳ではないのだから、「帰ってくる」という表現は些か可笑しいのかもしれない。けれども四月一日には百目鬼が部活の後にはここへ帰ってくるという確信があった。
(なんか、作ってやっておいたほうがいいかなぁ…)
まどろむ思考でぼんやりと思う。きっと彼は腹を空かせて帰ってくるに違いない。おそらく家に上がってからの第一声は「腹減った。飯」だろうな、と思いながら四月一日は瞳を閉じた。
(……飯食ったら…絶対…また、するんだろうなぁ…。よく飽きないよな、アイツも)
考えてみれば、いつもの休日のパターンだ。四月一日にはここ最近休日にゆっくり休めた記憶がない。それでも、その状況が嫌だと思えない。四月一日は少し恥ずかしくなって頭を軽くかいた。
(……寝よ)
考えることを放棄してしまえば、休息を求めている躯はあっという間に睡魔に持って行かれそうになる。
(昼過ぎたら起きよう。飯、作らないと……)
眠りに落ちる直前まで、百目鬼のことを考えている自分自身に四月一日は呆れずにはいられなかった。
またお題を始めました。なんだかんだ言っても自分でも呆れちゃうほど百目鬼が好きな四月一日ってどうよ…!? 萌えるけど四月一日らしさが足りないよ…!!(つД`)モエッテムズカスィ