スターオーシャン

Affection blinds erason.....

「えっと…フラック、フラック……と。あ、あった。この家か」
僕の名前はクロード・C・ケニー。21歳の大学4年生だ。
今僕は家庭教師のアルバイトをしている。3年の夏から小遣い欲しさにしていたバイトだったけど、どういうわけだか運良く来年の春からは正社員として雇ってもらえることになっている。
だから他のみんなみたいに必死になって就職活動をする必要もないってワケだ。う~ん、ラッキー。
おっと。そんなことはどうでもいいんだ。
今回が僕のアルバイトとしての仕事は最後なんだよね。しっかりやらなきゃな。

 

「それにしても大きな家だなー…」
首都圏にある家の一人息子だっけ?今回僕が教えるの。
今僕の目の前にある家は相当デカイ。何坪くらいあるんだろう…。ぼ…ボンボンな奴だったらヤだなぁ…
とりあえず僕は敷地の入り口にある柵の前で深呼吸する。こんなに緊張したの初めてだよ…ι
しばらく間をおいて、僕は意を決してインターホンのボタンを押す。「はい」という柔らかな感じの女性の声が帰ってきた。
「あ、スミマセン。私、大沢家庭教師協会の者ですが…」
「あ~、はい。少々お待ち下さい。今お開けいたします」
しばらくするとキキキキキィ~~という嫌な音を立てながら前の鉄の柵が両脇に退けていく。…自動なんだ、やっぱ。
ひっろ~い庭の向こうに芸能人が住んでいそうな感じの豪邸が建っている…。
何だかますます嫌になってきたかも…。
石畳の通路を通り、玄関の前に立つ。こうして目の前で見ると…ホントにスゴ…。
ぽかーんと情けない顔をして僕が家を見上げていると玄関のドアが開いた。やばやば。ちゃんとしなきゃ。第一印象て大事だし。
玄関には立派な髭を生やした50歳くらいの男性が立っていた。その人から醸し出ている雰囲気からして…この家の主人だろう。
なんて言うか、こう、威厳のあるオーラが漂ってるんだよね(^^;
「君が、家庭教師の先生かね?」
「はい。そうですが…何か?」
「いや、何でもないんだが。…上がって下さい」
な…何だよ……。ビックリするなぁ…。

その人に連れられて僕は客間のようなところに案内された。
高そうな掛け軸がかけられていて、これまた高そうな絵皿が飾られている和室である。
客間にはこの家の婦人であろう人がいて、僕が軽く会釈をするとにっこりと微笑みながら会釈を返された。…う。やっぱり苦手な雰囲気だ…。
「まぁ先生。そう固くならずにかけて下さい。いま、息子を呼んでこさせるので」
「は…はぁ……」

 

主人がお手伝いさんに息子さんを呼びに行かせてから数分。
不意に奥の方にあったふすまが開いた。 ふすまの先には蒼い、綺麗な長髪の青年が立っていた。この人が息子さん…だよね。大人っぽい子だなぁ…。
「ほらディアス。この人が今日からお前の新しい家庭教師だ。ご挨拶なさい」
「クロードといいます。宜しく…」
息子さんはぺこりと小さくお辞儀をする。
「先生のおっしゃることをよく聞いて、ちゃんと一流の大学に合格するんですよ」
「分かっています。それじゃあ、僕はもう部屋に戻ります」
そう言うと彼はもと来たふすまをしゃがみながら通って行ってしまった。…?しゃがみながらって…。あの子相当背がでかいんだな…。ひえぇぇ…
「さて、と…。君の部屋なんだが…」
??部屋?何のことですか????
「そうだな…。ディアスの部屋の隣に空き部屋があったな。そこを使っていただきましょう」
え?え?え?どどどどーーゆーーことーーー???

 

「ここが息子の部屋です。それでは先生、宜しくお願いします」
「え?あ…はい」
なんだかワケ分かんないんだけど、とりあえず今は平常心だな…。あと、ディアス君だっけ?とももう一度きちんと挨拶しよっと。
そんなことを考えながら僕は目の前の扉をノックした。
どうぞ。という声が小さく聞こえたので中にはいる。
「クロード先生…だったか?」
「え?うん…そうだけど…何?」
ディアス君はフローリングの床(といっても絨毯がひいてあるんだけどね)に胡座をかいて何か手元で作業をしていた。
僕は入った途端に声をかけられてビックリする。
ディアス君がちらっと僕の方を見た。
「…その様子だと…。何も聞いてないみたいだな」
「え??」
「うちの親が家庭教師を雇うときは絶対住み込みで働かせるんだよ。聞いてなかった?」
………。えぇっ!!き…、聞いてないよーー!!だいいち僕大学どうするんだよ!ここからだいぶ遠いんですけどっ!!コレだから金持ちはっ!!
思いっきり狼狽える僕を見てディアス君がクスクス笑っている。……笑うな…ι
と…とりあえず…、落ち着いて落ち着いて…っと。
あれ…そういえばこの部屋……
「ディアス君、だよね。…ディアス君って、音楽やってるんだ?」
僕は部屋をぐるっと見回す。親に分からないように隠してあるのか、部屋の隅の方にギターのような物がある。机の上の参考書に混じって音楽誌もある。
ディアス君は眉間にしわを寄せてぷいっと向こうの方を向いてしまった。…何か悪いこと言ったのかな?僕。
「と…とりあえず…、勉強…しよっか?」
ディアス君はしばらく沈黙したあと、ゆっくり口を開いた。
「はい……」

 

その日から一ヶ月ほど経った。
ディアス君はかなり飲み込みがやはくてホント教えやすい子だった。
僕の大学の方はというと…ι何とか朝早く起き出して行ってるよ…、とほほ~…。時々遅刻するけどね(苦笑)
僕はディアス君とだいぶ仲良くなって、時々ギターを聞かせてもらったりしてる。ギター弾いてるときのディアス君は凄くきらきらしてて…。本当に音楽が好きなんだなって思った。

 

「えっと…それじゃあ今日はこのくらいにしようか」
僕はテキストを閉じながら立ち上がって大きく伸びをする。時計を見るともう12時を回っていた。
「じゃ、僕は部屋に行くよ。あ~、でも明日休みで良かった~。ディアス君は何か予定あるのかい?」
「特に……」
「そっか…。じゃ、お休み」
「あ、先生!」
「ん?何?」
「その…、話あるんで…少ししたら部屋…行ってもいいですか?」
僕はディアス君の急な申し出に少しビックリしたけど笑って別にいいよと答えた。何だよ話って。僕眠いのになぁ…。

 

ディアス君おそ~…。少ししたらって言ってたくせに…。僕もぅ…眠いんですけど……。
とそのとき。部屋のドアがコンコンとノックされた。ディアス君…やっと来たな…。さっさと話して眠らせてくれぇ~!!
「ディアス君…だろ?どうぞ、入っていいよ」
ゆっくりと扉が開いてディアス君が入ってきた。僕はテキトーに座ってと言って、ディアス君にコーヒーを差し出す。ま、缶コーヒーだけどね。
ディアス君は神妙な面持ちで僕の横に腰掛けた。
「で?何だ、話って」
「先生…俺……ホントは一流大学なんて行きたくないんだ…」
「え…?」
「俺…もっと音楽の勉強したいんだ。今までずっと趣味でギターいじってきたけど、音楽が凄く好きなんだ」
「うん。わかるよ」
「え?」
「音楽の話してるときのディアス君って、いつもからは想像できないくらいキラキラしてるんだ。音楽が好きだって事、凄くよく分かるよ。………ディアス君、勇気もって…お父さん達に話してみなよ。たぶん、分かってくれるから…」
「…先生…」

ぎゅっ…

え?え?え?えええ???何何何何??!!何で今僕ディアス君の腕の中にいるのっ?(@_@;
「ディ…ディアス君?」
僕はおそるおそる彼を見上げる。ディアス君は固く目をつむって僕を抱きしめる腕に力を込めた。
いい加減苦しくなってきて僕はディアス君の腕を振り払う。
ディアス君が酷く切なそうな瞳で僕を見た。僕はその瞳に一瞬どきっとして固まってしまう。僕…どうしちゃったんだよぉ…
彼のの手が前髪の生え際から顎の方までゆっくりと僕の輪郭に沿って撫で降りる。何だかディアス君の手が心地よくて知らず知らずのうちに僕の瞼が閉じてしまって…。
次の瞬間、僕の唇の上に温かくて柔らかい物の感触がした。僕はその感触がディアス君の唇だということにしばらく気が付かなかった。
不意にディアス君の舌が僕の唇を割って無理矢理口の中に入り込んできて僕の舌に絡みついてくる。
「ん……」
どうしよう…何だか気持ちよくなってきちゃった…どうしたんだよ、僕……
僕が甘い口づけに酔いしれている隙にディアス君は僕のシャツに手をかけた。キスをしながら片手で器用に上着の釦をはずしていく。
「先生…好きだ…」
ディアス君は僕を抱きしめながら囁く。でも僕は正直戸惑っていた。そんな…好き…なんて…言われたって…僕はどうすれば……。それに…僕達は、、男同士なのに…
「ディアス君……僕も…」
…って何言ってるんだよ僕ーーーー!!!!………でも…
「ホントのこと…かな…」
「先生?」
「ん、何でもない。気にしないで」
僕は微笑んだ。
ディアス君も薄く笑みを浮かべて僕の首筋に唇をおとしていく。彼の口は僕の肌を時々舐めたり吸い上げたりして……まったく…眠りたかったのに…これじゃあ寝れないじゃないか……
「あ……やっ!」
どんどん位置をさげていったディアス君の唇が僕の胸の飾りをとらえた。初めて味わう感触に思わず変な声をあげてしまう。その声を聞いたディアス君は嬉しそうに笑って今度は舌でそこを弄くりはじめた。
「あっ……いやだ…ん……」
もう…ディアス君てば……高校生なのに、何でこんな……って…そうだった!!背高いし、大人っぽいからすっかり忘れてたけど……ディアス君って年下だよぉ!!年下にこんな…ι
「でぃ…ディアス君…ちょ……待って、やめてっ!」
僕は慌ててディアス君の体を突き放す。彼は恐い顔で僕を見た。
「えっと…その…あの……。やっぱり、駄目だよ。僕達…一応先生と生徒、だろ?……だから…まずいって…」
「先生…」
ディアス君は低くて冷たい怖い声で僕を呼ぶ。そのまま腕を捕まれて押し倒された。逃げようとしたがディアス君に強く押さえ付けられていて上手くいかない。
ディアス君はずっと僕を睨み続けている。
「ディアス…君……」
僕はディアス君を見つめる。彼は顔をゆるませ溜息をつく。
「恋に上下の隔て無しって言いますよ、先生」
「ばかっ!何言っ‥んっ!!」
言葉を続けようとしたがディアス君の唇に邪魔された。彼の唇はすぐに離れていった。
「あ‥れ?……ディアス君?」
ディアス君はニヤニヤと笑っている。………あ…ι
「先生…いいよね?」
「もう…、好きにしてよ…ι」
はめられた…のかな…?畜生…ι

「ん…ぁ……はぁ…」
ディアス君の手が僕の躯を撫で回していく。撫でられただけだというのにどうしてこんなに感じてしまうのだろうか。何だか情けなくなってくる。
「先生、感じやすいんだね…」
「やだ…そんなこと、言わないで…。恥ずかし…んっ…」
僕の躯を撫でていたディアス君の手が僕のズボンのにかかる。あっという間にズボンと下着を剥がされてしまった。
僕は恥ずかしさのあまりディアス君から目をそらす。彼の手がすっかり勃ち上がった僕を包み込んだ。
「や…ディアス君っ……、やめっ…あっ…あああっ!!」
ディアス君が僕を強く握りしめたので、僕はあっけなく達してしまった。
「せんせい…やっぱり……可愛い…」
ディアス君は僕を抱きしめながら囁く。興奮しているのか、息が荒い。
「先生…ちょっと痛いけど、我慢して…」
「え?…あっ……や…痛ッ」
ディアス君の指が僕の中に入ってきて、ゆっくり僕を掻き回す。僕は堪らず甘い声をあげてディアス君にしがみついた。彼はそんな僕に答えるかのように首筋に口づける。口づけながら僕の中を掻き回し続けた。
「ん…やだぁ……、やめっ…あっ…」
「そろそろ…かな……」
独り言のようにぼそっと呟くと僕から指を引き抜く。何とも言えない感覚に僕はまた甘い声をあげてしまった。
「ディ…アス‥くんっ……」
「先生……一つになろう…」
「……うん…」
僕は瞳を閉じてディアス君に自分の身を任せた。

 

―――翌朝。

「痛ーーーーい……」
「ご…ごめんなさい…」
「ディアス君…手加減って言葉、知ってるよね?」
「本当に申し訳ないです…」
本当にすまなそうにしているディアス君の姿を見て僕はクスリと笑う。そして、隣にいるディアス君に寄り添った。
「先生、動ける?」
「無理。だから……」
「?」
「もう少しこのままでいなさい」
「…はい、分かりましたよ、センセ」
ディアス君は僕の頭を撫でる。その感触が心地よくて、何だか眠くなってきた。あ、そうだ…
「ディアス君。音楽の勉強できるように…僕も頼むの手伝ってあげるね……」
伝えたいことを言い切って、僕は深い眠りに落ちた。

 

後日。大学にて。
「クロードーーー!!!」
今日も寝不足で欠伸を噛み殺しながらキャンパス内を歩いていると、同級生の友達に声をかけられた。
「クロード、お前、家庭教師のアルバイトしてるんだよな?」
「そうだけど?何?」
何だよホントに…。僕は眠くてイライラしてんの!
「聞いたぞ、お前。家庭教師のアルバイトで教えてるコ、食っちまったんだって?」
「はぁ?何言ってんだよ、お前……。ってまさか…ι」
コって、娘ってことだよね?…あー、どっかで情報が食い違ってる…。しかしそんな噂どこから…(滝汗)
「お、その顔はどうやらホントみたいだな。で?どうだった?可愛い娘か?」
この場合…どう対処したらいいんだ…ι
「いーよな、お前はー。就職先は決まってるし、可愛い女の子もゲットできて」
だから違うっつーの。僕は食べたんじゃなくって食われたんだい!って…ホント眠いんだな、僕。何考えてるんだよ…ι
もーいいや。
「ふぅーー。いいか。ちょっとしっかり聞けよ」
「え?あ、あ…」
「僕が教えてる子は、男子高校生だよ」
「へ?じゃ…まさかお前男を食っ…」
「食うわけないだろ!!!」
「じゃあ、お前が?食われたのか?」
アー、もう肯定すんのもめんどくさーー。僕は渋々頷いた。
「なんだ。やっぱりそうか」
………は?
「おかしいと思ったんだ。色恋沙汰にはてんでニブチンなお前が生徒くっちまったなんてな」
悪かったな、てんでニブチンで。
「で、どういう奴なんだよ、そいつ。惚れてんのか?」
「ど…どういうって…」
うわ、どうしよ。ディアス君のこと思い出したら顔が熱くなってきちゃった。惚れてる…?みたい。
友達は僕の姿を見てげらげら笑う。
あー、もうっ!笑たかったら笑えよ!!ちくしょーーーー!!!

おわり

投稿日:2010-01-01 更新日:

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