スターオーシャン

ふたりの貴方

クロードとディアスが再び目を覚ますとそこは、先程まで居たクロードの部屋だった。

ぼんやりとクロードはベッドに倒れ込む。
そんなクロードをディアスが厳しい表情で見つめていた……。

 

 

「クロード」
「……何だ?ディアス」

枕に顔を押しつけたまま、クロードはディアスの呼びかけに応えた。
なるべく、いつものように。
――― 泣いていることを、気付かれないように ―――

 

 

「クロード、お前…本当にそれでいいのか?」
「…何が?」
「戦いが終わったら…あいつと……」
「別に…、いいだろ?」
素っ気なく返すと、ディアスは黙り込む。しばらくして彼の気配が遠ざかっていくのが分かった。

 

早く行ってほしかった。一人になりたかった。

 

パチン

 

鍵が閉まる音がする。
…え?鍵?

再びディアスの気配が近付いてくるのが分かる。一体どうしたのだろうか。
不思議に思ったクロードはちらっとディアスの方を見た。
瞬間、ディアスと目が合う。
綺麗な紅い瞳がクロードを睨んでいた。

「ディア……ス?わっ…!」
ディアスはクロードの腕をぐいっと引っ張りクロードをきつく抱きしめた。
突然のディアスの行動にクロードは呆気にとられる。
何も言えずにディアスを見上げると、ディアスは即座にクロードの唇を自分のそれで塞いだ。

 

 

―― 何をしているんだ…、俺は…――
ディアスは自分自身がとった行動に驚いていた。
数刻前にあのヴェドとかいう悪魔が己の姿でしていたことを、自らの意志で行っている。

あんなに吐き気を催したのに…。俺は一体、何を…?

 

ただ、失いたくないと思った。
この健気な生き物を幸せにしたいと思った。
自分のモノにしたいと思った…
もしかすると…

 

 

歯列を割って中に入り込むと怯えたようにクロードは逃げまどう。
初めはなだめるように優しく
次第に息を奪うように深く激しく口づける。

やっと唇を開け放すとクロードは涙を溜めた瞳でディアスを睨み付けていた。

「…どういうつもりだよ?同情なら………いらないよ」
「…好きだ」
真剣な表情でクロードを見つめながらディアスが囁く。
クロードはカッと顔を赤くして目の前にあるの胸板を突き返した。
その拍子にクロードの瞳から溢れていた涙がこぼれ落ちる。
「言っただろ!?同情ならいらない!僕のことなんかかまわないでどっかに行ってよ!!……お願いだから…」

ギシッ

クロードがディアスから目を背けると、ディアスはクロードの体をベッドへと押し倒した。
慣れた手つきで服を剥ぎ取り、以外にも白い肌に唇をあてがう。
「んっ…」
「俺が同情なんかで男にこんな事をすると思うか?」
「じゃあ…遊んでるのかもしれない…」
「わからずやが」

 

そう言うと、再びディアスはクロードにあつい口づけを送った。


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投稿日:2010-01-01 更新日:

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