思いがけないディアスの行動にクロードは困惑する。
彼は…自分のことをただの仲間としてしか考えていなかったはずだ。
…単なる気の迷いか、遊び心か、同情しているかに違いない。
…きっとそうだ。
この時間<とき>が過ぎれば…彼は二度と自分を抱かないだろう。
なら…
…でも…
「クロード…」
唇を離し、ディアスはクロードの首筋に顔を埋め肌を貪っていった。
クロードの白い肌に綺麗な色の花が咲く。
「綺麗な肌だな…男のそれとは思えない…」
「…ディ、アス……んっ」
気持ちとは裏腹に、彼の行動一つ一つに敏感にクロードの躰は反応する。
躰は本物のディアスの愛撫を素直に喜んでいるようだった。
コレが最初で最後なら、悔いのないようこの行為に溺れてしまいたい。
「やだ……やめっ…」
でも理性が許さない。自分がこの人の同情に甘えることを…
ディアスは唇を胸の飾りへと移動させる。
そっと舌でつつくとクロードは背中を仰け反らせて喘いだ。
「やめて…っ…やめてよぉ……」
目尻に涙を浮かべてクロードは懇願する。
本当はやめて欲しくないけれど、このまま抱かれてしまうと自分の心に迷いが出来てしまう。
彼との…ヴェドとの約束を果たせなくなってしまいそうで…
「…そんなに…嫌か?」
今まで黙ってクロードを弄んでいたディアスが口を開いた。彼の表情は何処か切なそうだ。
その表情を見てしまったクロードは胸が痛んだ。
「嫌…じゃない……でも…嫌だぁ…」
矛盾した台詞をクロードが吐く。
その言葉にはクロードの葛藤がよく表れていてディアスは眉を顰めた。
「俺の言葉が信じられないのならそれでいい。だが…俺がお前を好きな気持ちは変わらない」
「…ディアス…」
ディアスの言葉にクロードの胸はきゅっと締め付けられたようにいたくなる。
沈黙が続く。
やがてクロードは心に決めたように小さく頷いてディアスに抱きついた。
「じゃあ…ディアス…。今夜だけ……でも絶対に『好き』って言わないで…」
震える声で訴える。
その言葉さえもう聞かなければ…まだ何とか出来る気がした。
「…すまない…有り難う…」
ディアスは抱きついてきたクロードを優しく抱き込みそっと触れるだけのキスをした。
その拍子にぽろりと流れ落ちたクロードの涙をディアスは優しく唇でぬぐう。
涙をぬぐいながら熱くなったクロードを手で優しく包み込むとクロードの躰がビクリと震えた。
既に先走りで濡れているそこに手を這わせるとクロードは声を押し殺して喘ぐ。
そんなクロードにディアスは耳元で囁いた。
「我慢するな…きちんと…お前のイイ声が聴きたい…」
その言葉にクロードは顔を耳まで真っ赤に染める。クロードのそんな反応にディアスは余計に愛おしさを覚えた。
「あ……あぁ…ふっ…ディアスっ……」
クロードをそっとベッドに寝かせたディアスは自身に愛撫を続けながら胸の飾りに口付けた。
赤く色づいて固くなったそこをディアスは優しく舌で愛撫する。
時々軽く歯をたてるとクロードは小さく悲鳴を上げてディアスの長い髪を引っ張った。
「ディアスぅ……や、も…あっ」
上と下の愛撫に耐えかねたクロードはディアスの手のひらに濁った液体を吐き出した。
にやりと笑んだディアスは手に溢れた液体をクロードの目の前で音を立てて舐める。
その嫌らしい音にクロードは顔を赤らめた。
「ディアス……ひっ!!」
クロードは何かを言おうとしたが、自分の中にディアスの指が侵入してきた為に悲鳴を上げた。
クロードの精を潤滑油の代わりにして一本、また一本とディアスの指が増えていと
その度にクロードは嬌声をあげて涙を流した。
「クロード…」
なだめるようにディアスはクロードの名を呼び、その涙を唇で拭い取り、時には優しく口付ける。
クロードはディアスにしがみつき、ぎゅっと彼の髪を握りしめていた。
暫くクロードの中を解していた指がゆっくり引き抜かれると、クロードは身を震わせた。
「少し…我慢してくれ…」
興奮しているのか、熱い吐息を吐きながらディアスはクロードに囁く。
その吐息混じりの声にクロードの躰は更に熱くなる。
「あっ…あぁ……ディアスっ…!」
「…クロード…」
繋がった二人の躰は激しくリズムを刻む。
ディアスはクロードに「好きだ」と「愛している」と言葉を発したくなる気持ちを必死に押さえ込んでいた。
クロードの方は既に理性を失っているらしく己の中のディアスをきつく締め付け
自分を犯す人の背に爪を立てて絶えず艶めかしい嬌声をあげていた。
やがてくる絶頂の時をクロードは求め、ディアスはこのままでいたいなどと考えていた。
それぞれの気持ちを胸に
一夜だけの情事の時は過ぎてゆく…
ディアスはクロードの髪の感触を楽しむように梳いていた。
全てが終わって、自分の隣で愛しい人は深い眠りに落ちている。
何処かあどけない表情にディアスは微笑み小さく呟いた。
愛している
と……