スターオーシャン

feel my heart tighten

弓張り月が輝く夜。
急に人肌が恋しくなってディアスの元へと向かった。
いつも何も言わずに、僕のことを抱いてくれて有り難う。でも、何か言って欲しいんだけどな。。

 

 

「んっ……ぁ、はぁ、、ディアス…もっと……」
僕は、いつも決して言うまいと思っていた言葉を言ってしまったことにはっとした。
「ぁ……ディアス、、ごめん…」
どんなにもっとディアスが欲しいと思うことがあっても、決して口には出すまいと僕は心に誓っていたんだ。それなのに。

 

 

「ディアス…。貴方のことが……好きです。。」
そうディアスに告げた日。ディアスは何も言わずに僕を抱きしめてくれた。そしてそのまま彼と一夜を過ごした。
あの日の僕は、浮かれていて気が付いていなかったんだ。
…ディアスが一言も僕を好きだと言ってくれなかったことを…。

 

次の夜伽の時に僕はその事に気が付いた。だから。。
ディアスはきっと、僕に付き合ってこんな事をしてくれてるんだと思った。
彼の本当の意思ではないのだ、と。
だから、彼に迷惑をかけたくなかったから、決して欲張らないようにと思い続けてきた。
それなのに…。
つい、言葉が出てしまった…。

『もっと…』

 

 

 

ごめんね、ディアス。もぅ、わがままはコレで最後にするね。。。

 

 

 

クロードが俺に告白してきたとき、俺は夢でも見ているのかと思った。
何と言っていいのか分からなくなって、そのままクロードを抱きしめて、抱いた。
それから、何度か体を合わせることもあったが、いつもクロードの方からだった。
俺は…。
事実が信じられなくて、クロードを誘いに行くことが出来なかった。自分らしくもない。だが、どうしようもなかった。
クロードが好きなのは、妹のレナだとばかり思っていたから。

 

 

 

「…ディアス……。もぅ、いいよ」
「……?」
「ディアス、今ので最後にしよう?もぅ、無理して僕に付き合ってくれなくていいから…。
今まで有り難う、サヨナラ。…そして、明日からも、また…同じパーティの剣士として………よろしく…ね」
クロードの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。その綺麗な蒼い瞳は期待と不安に染まっていた。
否定して欲しい。
否定して、好きだと、愛していると言って欲しいという期待。
そして、肯定される不安。

「…………あぁ…」

ディアスの口は…肯定の意を示した…

 

 

----------

 

 

クロードは今、なんと言った?
俺に今、何と伝えた?
俺は……何と答えた…?

「ディアス、今ので最後にしよう----------」

俺は………肯定してしまった…。

 

 

 

クロードはしばらく沈黙したあと、よれよれになって部屋を出ていった。
真夜中なので人は誰もあるいていないだろう。クロードの部屋はこの部屋の隣の隣。大した距離ではない。

 

このままクロードを行かせていいのか?

 

俺は無意識のうちに部屋を飛び出して、クロードを追いかけていた。
廊下に飛び出るとクロードの部屋の扉が少しだけ開いている。

 

 

 

「クロードッ!!」
「……ディア…ス?」

クロードの表情が困惑に染まる。
ディアスはベッドにもたれ掛かるような体制で床に崩れていたクロードをきつく抱きしめた。
「クロード……。すまなかった…」
「ディアス?」

 

「クロード……好きだ………、愛している…」

 

ディアスはクロードの耳元で低く囁いた。

「う…そ……だ…」
「……嘘なわけあるか…。ずっと、言ってやれなくて……本当にすまなかった…」
ディアスはクロードを抱きしめていた腕をゆるめ困惑にゆれている顔を愛おしげに撫でた。
その手を顎の下へと運び、軽く持ち上げ遠慮がちに口づけた。

長く、優しい、静かな口づけ……

 

「お前は…俺のものだ…」

キスを中断して、ディアスはクロードに言い聞かせるかのように囁いた。クロードはディアスの腕の中で静かに頷いた。

 

その表情が幸せそうであったことは言うまでもない。

 

 

END

投稿日:2010-01-01 更新日:

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