スターオーシャン

僕の先生

 

時計は夜の7:00をまわっていた。
もうすぐ大好きな先生が来る時間。
僕の家庭教師の先生は、凄く背が高くて、髪が長くて、凄く格好いい。
おまけに剣道も凄く強いらしくって、頭もいい。名前は『ディアス・フラック』

でも僕…それくらいしか先生のこと、知らない……。。

 

 

 

 

机の上に勉強道具を用意して、そわそわと先生が来るのを待つ。
先生に勉強を教えてもらうようになってから、僕の成績は急に良くなった。授業はつまらなくても、ディアス先生の授業(?)は凄く楽しい。

ピンポーン
そんなことを考えていたら家の呼び鈴が鳴った。
先生だ!と、僕は嬉しくなって部屋を飛び出し、階段を駆け下りて玄関へ向かった。

「先生今晩は!!!!」

元気に先生に声をかけると、先生は右手を軽く僕の方へ振ってくれた。先生は何やら母さんと話をしているようだった。

「そう言えばクロードは先生に勉強を教えて貰うのが楽しくて仕方がないらしくて、先生の話をまるで小学生みたいにはしゃぎながらするんですよ」
「…そうですか…」
「うわっ!!母さん何余計なこと言ってるんだよ!先生、行こう!!」
「ああ。それじゃあ…私は……」
「ええ。息子を宜しくお願いしますね」

 

 

 

 

 

 

「あぁぁーーーーーー!!!!もぅさっぱりわかんないよ!先生、このベクトルって一体何なの!?」
「ああ、…ベクトルはな………」

先生が紙に何やら矢印を沢山書きながら説明している。
でも僕の集中力はつい先程切れてしまっていて、さっぱり頭に入ってこない。
ふと、時計に目をやると単身は既に10の数字をさしている。
「せんせーーーー」
「ん?」
「僕もうつかれましたー」
棒読み口調で訴える。先生はチラリと自分の腕時計に目を落とした。
「もうこんな時間になっていたか…。じゃあ今日はもう終わりだな」
「そうですね。……あ、先生!!」
僕は早速帰ろうとしている先生を慌てて呼び止めた。
「何だ?」
「先生明日出かける予定ありますか??」
「……いや…」
僕はにっこりと笑う。先生はすごく不思議そうな顔をしていた。
「じゃあ先生!!今晩うちに泊まって行ってよ」
「…は?」
「今日ねー、うちの父さんと母さん出かける用事があって僕一人なんだ。だからね?先生。泊まってってよ!!」
「…しかし…」
「実はね、父さんと母さんにも言ってあって、是非泊まって貰いなさいだって!…僕ね、先生のこともっと知りたいんだ♪」

本当にそう思う。
僕は自分のことをよく先生に話すけれど、先生は無口な方だから自分のことをしゃべらない。
もっともっと、勉強に関係ないおしゃべりして、先生と仲良くなりたい。
先生は黙ってうつむいている。……だめ、なのかな?……やっぱり…

「わかった。…クロードがそんなに言うのならな」
「ほんと!?やったぁ!それじゃあ先生、一緒に風呂入ろうね♪」
「……え?」

 

 

嫌がる先生をむりむり説得して、なんとか風呂場へと連れていった。ほら、昔からよく言うよね。裸のつきあいってさ。背中流しながら先生の話聞くのって、楽しそう♪
それにしても…あんなに嫌がるなんて……。先生結構恥ずかしがりやなのかな?可愛い~♪
「先生ー。僕んちのお風呂って、結構広いんですよ。僕、背中流してあげるね!」
「…………あぁ……」
先生は弱々しく返事をして頭を抱える。どうしたのかな?頭痛?
僕はぱぱっと服を脱いでふろ場に入った。

「先生必ず一緒に入ってよ!」

と、未だ脱衣所で頭を抱えている先生に釘をさして…

 

 

 

軽く身体を流して湯船に浸かる。温泉好きの両親が風呂だけにはお金をかけたので、僕の家の風呂は小さな旅館の大浴場なみの広さだ。確かに開放感があって、気持ちいいことは気持ちいいんだけど……少し寂しい感じがするんだよな。
ガラッとドアが開いて先生が入ってきた。先生は長い髪を上の方で纏めている。
そして僕が浸かっているところよりだいぶ離れたところに入った。……やっぱり恥ずかしいのかなぁ??

「センセーー」
「何だ?」
僕は音を立てて先生の横へと移動した。
…先生は何故か僕と目を合わせようとしない。気まずい沈黙が場を支配した。
何とかしようとはじめに口を開いたのは、僕。

「先生って、……身長も大きいけど、あそこも大きいんだね。さっすが大人~♪」

それを聞いてぶっ!!!と吹き出した先生は、笑いながら僕の頭を小突いてきた。
少し、場の雰囲気が和む。…よかったぁ…
「あはは。先生あがって!僕背中流すよ」
先生は小さくため息をついた後、苦笑いをしながら湯船からあがった。

 

 

 

先生を檜で出来た小さな椅子に座らせて、ぼくもその後ろに座る。母さんがどこからか買ってきた『ケロリン』と書かれた桶にお湯をくんでスポンジを浸した。

「先生。僕ね、先生にいっっぱい聞きたいことあるんだ」
スポンジにソープを含ませ、先生の背中をごしごし洗いながら僕は話しかけた。
そのまま暫く他愛もない会話を続けて、泡のついた背中をお湯で流しながら、僕は一番聞きたかったことを口にした。
「ねぇ先生…。先生ってさ、やっぱり彼女…いる?」
瞬間先生の身体がピクッと動いた。再び気まずい雰囲気が流れる。
やっぱり…いるんだろうなぁ、彼女。先生格好いいし…。あれ?何だろ…何か凄く悲しい……。
「それよりクロード、今度は俺がお前の背中を流すからそっち向け」
あ、流された…。とりあえず僕は先生に言われたとおり、むこうを向いた。
「クロード…俺のこと、もっと知りたいんだったよな?」
いつもより格段に低い声が後ろから響く。どうしたんだろ、先生…。

「せっ……先生!?」

突然後ろから……抱きしめられた……

 

 

 

 

 

 

後ろから伝わってくる先生の肌の確かな感触と温もり、鼓動。
たくましい両腕は僕の胸の前できつく交差している。

「クロード…」

耳元で甘く囁かれて、心臓がどくんと大きな音を立てる。
ゆっくりと形の整った手のひらに躰を撫で回されて、だんだんと僕の体が熱くなっていくのが良く分かった。
「んっ……!」
自分でも存在を意識したことのない胸の飾りを摘み上げられて、思わず声を漏らす。
「せん…せぇ?……ふあっ!!」
先生の手が僕のものに触れる。これって……これって……
「クロード、俺がどんなことを考えているのか…分かったか?俺がお前にどんな思いを抱いているか…」
僕は無言でこくりと頷く。
それを確認した先生は僕から離れ、風呂場から出ようとした。

「先生待って!」

慌てて僕が先生に抱きつくと、驚いた様子で先生が僕を見下ろした。
「ねぇ…先生…。今のって、今のって、先生が、僕のこと、……好きって、事、なんだよね?ね?」
「あ…あぁ……そうだな」
「…………」
「…クロード?」
「僕……嬉しい…。先生の気持ち…凄く嬉しい。…だから、行かないで……」
何故か瞳から涙が溢れてくる。嬉しいのに…どうして涙が出るんだろう?
僕は先生から離れて床に座り込み、メソメソと泣き続けた。
ふっと、目の前に先生の気配がした。
「クロード、泣くな…」
「うっ……せんせぇ…もぅ…行かない?」
先生は僕の涙をそっと舐めとる。そのまま唇が下に降りてきて僕のそれに触れた。
先生の唇の感触が優しくて、また涙が出そうになる。
そっと、先生の舌が唇を割って僕の口の中に入り込み、僕のそれを優しく絡め取る。
熱くて柔らかい感触に僕は少し戸惑った。
「んぅ……」
「クロード…ずっと好きだった…」
唇を離した先生は、僕の耳元にそっとささやく。その一言でまた僕の瞳から勝手に涙がこぼれ落ちた。
「先生…僕も…僕も、好き…」
この言葉を合図にまた僕らは唇を寄せ合った。今度は自分からも舌を動かして彼を感じようと務めた。
どちらのものかわからない唾液が僕のあごを伝ってゆくが、そんなことも気づかないほど僕は彼のキスに熱中していた。
「ん…あっ…」
ディアス先生はそれを見逃さなかったのか唾液を追って唇を離し、僕の首筋にちゅっとキスマークを付けた。
「お前は…俺のものだ。いいな?」
じっと瞳を見据えられて確認される。僕は何だか恥ずかしくなって先生の首筋にキスを返した。
「先生も、僕だけのものですよ」
恥ずかしさを隠すためににっこりと笑む。お風呂で体も温まっていたから僕の顔はきっと林檎みたいに赤かったに違いない。だって先生、笑ってたもん。僕、変な顔してたんだ、絶対。
先生は僕にキスの雨を落としながら僕の体をゆっくりと床の上に押し倒す。ひんやりとした冷たい感触が僕の背中に広がった。…ここで…するつもりなのかな?
「せん…せっ!ひ…」
風呂場を出ようと提案するために体を起こそうとしたとき、先生の唇は僕の胸の時をとらえ強く吸った。その感覚に僕の提案はあっという間に頭の中から消え去ってしまった。
甘い、痺れるような快感が僕の体を駆け抜けていく。乳首を甘噛みされ、そのたびに僕の口からは信じられないような嬌声が漏れ出た。
僕はどうしたらいいか分からなくなって先生の背中に手を伸ばし、なんとかしがみついた。優しい暖かさにほっとしたのもつかの間、先生の手が僕のものを嬲りにかかる。慣れない愛撫のせいもあってか、僕のそこはもうすっかり堅くなっていて……。
「先生、やだ…恥ずかしいっ……」
「…今更恥ずかしいのか?」
少しふざけた口調で先生がにやりと笑う。確かに…そうだけど…この状況だと恥ずかしいんだいっ!
何か言ってやりたい僕の唇を塞いだ先生は再び僕のものに指を絡める。口付けられたまま、僕はさほど時間もかからずに先生の手の中で達してしまった。今までに感じたことの無いような快感に僕がウットリとしていると急に鈍い痛みが僕の体に走った。
「やっ…ぁ、せんせっ…痛い…」
「大丈夫…ゆっくり慣らすから…」
…そういう問題じゃ無いと思うんですけど……。
でも、さっきより先生の呼吸も荒くなってて…なんか凄くドキドキする…。先生もなんか余裕無くなってるみたいでちょっと嬉しいかも。
「……だいぶ余裕だな」
「え?ひゃっ…」
考え事してたのに…先生には余裕にみえたらしく僕の中で蠢く指の本数を増やす。中を好きなように掻き乱されて僕はもう何か考えている暇なんて無くなってしまった。はじめは痛いだけだったけれど、だんだんと感覚が変わってゆく。
「ふ…ぅ……気持ちイイ…」
ため息をついて、僕は先生の体を抱きよせてキスをせがんだ。先生はほほえんで唇に触れるだけのキスをして僕の中にある指を引き抜いてしまった。僕は驚いて先生を見つめる。
「…入れるぞ。…いいか?」
「…ぇ?…ぁ……」
真っ直ぐな瞳で見つめられ、問いかけられる。その時、僕は急に先生と[繋がる]ということに恐怖を感じた。
確かに自分の体は彼を求めていると思う。先程まで僕の中を弄んでいた彼の指が無くなってしまい、どうしようもなく体が熱く疼いていることも分かっている。
それでも、やっぱり怖かった…。
「クロード、嫌ならいいんだぞ。無理をしなくても」
そんな僕の恐怖心を見て取ったのか、先生が僕に優しく声をかけてくれた。
「でも…先生……」
そうは言ってくれても、先生だってきっと辛いはずだ。それに、僕だって嫌な訳じゃない。
「僕、嫌じゃないです…」
「しかし……お前は怖がっている」
「せんせい…でも、僕……先生がほしい…」
「俺はクロードが好きだ。出来ることならお前を傷つけたくない。俺を欲しいと言ってくれるのは嬉しいが…。お前の体が怖いと感じているのなら、たぶん、気持ちよくなれないと思うぞ」
「……先生…」
僕は先生の気遣いが嬉しかった。彼がどれだけ自分を想ってくれているのかを感じ取ることが出来たから。
でも…
やっぱり…

「先生」
「…ん?」
「僕やっぱり、先生が欲しいです。確かに…ちょっと怖いけど…でも…」
なんだか先生の顔を見て話すのが気まずい感じがして、僕は俯いた。ふと、先生の溜息が聞こえる。
「わかった。…出来る限り、優しくする」
「せんせ…んっ…」
再び、彼の唇が僕の唇を塞いだ。僕は先生の背に縋るように腕をまわす。
「うっ……ぁ…」
下の方から強い圧迫感が僕を襲ってきた。僕は苦しくて先生の肩に爪を立ててしまう。
先生は僕の中に入ってきながらキスをして、更に前の方を優しく愛撫してきたので僕の意識は自然とそちらの方に向いた。
「…クロード…」
先生の熱い一部を体の中に感じる。
「せんせぇ…僕たち…一つになったんだよね?」
「ああ」
先生は微笑み、僕の額に軽くキスを落とす。優しいキスの後、彼はゆっくりと腰に力を入れ始めた。
やっぱりはじめは痛かったけれども、揺さぶられているうちにその痛みは快楽の一部になっていく。
「せんっ……せっ……あっ、あぁっ…」
「ディアス、と呼べ…クロード」
名前を呼ばれて、背中をゾクゾクとした何かが走る。
「ディアス……せん、せ…」
「先生は…余計だ…」
体全体を強く揺さぶられ、僕は快楽の渦に飲み込まれていく。結合部から聞こえてくる卑猥な水音も今の僕には熱くなった体を煽るものの一つでしかなかった。
お互いに名前を呼び合いながら、僕たちは果てた。

 

 

 

 

「ん……」
「目が覚めたか」
気がつくと僕は自分のベッドの上にいた。先生も、僕も、きちんと服を着ている。
夢…だったわけじゃないよな…今の…
「先生……あっ…痛…」
上半身を起こそうとすると、腰に鈍い痛みが走った。凄く痛かったけれど、夢じゃないことを確認した僕はほっと溜息をつく。
「動かない方がいい。腰、辛いだろう?」
僕は黙って先生を見ないで頷く。
…恥ずかしくて顔が見れなかった。
シーツの中にもぞもぞと潜り込みながら、僕は呟いた。
「先生、これからも…いろいろ、教えてね」
勉強もそうだけど、先生のことも、……イロイロ。
長い沈黙のあと、肯定の言葉と一緒に僕は先生に優しく抱きしめられた。

「先生…大好き…」
「あぁ、俺もだ」
「えへへ」
即答されて、少し照れながら僕は優しい眠りについた。

 

END

投稿日:2010-01-01 更新日:

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