スターオーシャン

PLAIN CHOPCOLATE

「だからヤダって言ってるだろ?もーーディアスなんか大嫌いだーー!!!!」

一瞬にしてディアスを瀕死に陥れる恐怖の呪文がクロードの口から放たれた。(もちろんクロードにしか使えない/笑)
だだだだだーーーっとクロードはその場を走り去っていく。
その場に残されたディアスは瀕死になりつつも微かに呟いていた。

「……キス……くらい………いいじゃないか…くすん。」

くすんって…ちょっと可愛いぞ、ディアス♪(爆死)

 

今日は二月十四日。そう、聖バレンタイン。
女性が意中の男性にチョコレートを渡すあの、日だ。
関係のない話だが、この日はバレンタインという神父が処刑された日である。
向かいの諸外国のどこかで(オイ)平民と兵士が恋におち、こっそり二人のためにこのバレンタインさんが結婚式を挙げた。
しかし、当時は身分が違うもの同志の結婚は出来ないのでこの神父が行った行為は違法。
そのため、このバレンタイン神父は時の二月十四日に処刑されてしまう。
それからというもの、二月十四日は好きな相手に気持ちを伝える日、となっていたらしいが
いつのまにやら女性が男性にチョコをあげる日に変わってしまったわけだ。
ただ、この情報は真実だかどうだか怪しいので気になった人は確認してみること(笑)

「………ディアスの……バカ……」

クロードは今日が二月十四日という特別な日なのを思い出して、きちんとディアスのために
チョコレートを用意しておいたのだった。
「チョコレート……持ってかえって来ちゃった…」
ディアスにチョコレートを渡したら、彼がキスをせまってきたため、ついクロードは
チョコを奪い返して自室に戻ってきてしまったのだ。
「…いいや。食べちゃえ……」
ポツリと独り呟いてクロードは自分で包んだチョコの包装を破る。
ふたを開けるとレナに教えてもらいいながら作ったハート型のチョコがでてきた。
ディアスの手のひら大の大きさのチョコレートは(デカすぎ)真ん中にホワイトチョコで小さく『大好きだよ』と書いてある。
「ディアスなんか……大嫌いだよ………」
自分に言い聞かせるようにクロードはつぶやき、その大きなチョコを二つに割って
『大好き』と書かれている方をちまちま食べはじめた。
甘いものがあまり好きじゃないディアスにも食べられるように、チョコはビターを使ったので少しほろ苦い。
ほろ苦いのに、少し甘くて……。
大好きな人のために心を込めて作ったチョコレートを自ら食べていると、知らず知らずのうちに
クロードの瞳から涙が滝のように溢れ出てきていた。
泣ながら食べていると涙が混じって、チョコレートが変な味になる。
「…ぐすっ……うっ……ぐす……」
「おいおい、どーしたクロード。」
「ぼ……ぼーまん………さん……?……ぐす…」
突然現れたボーマンはクロードの姿をまじまじと見つめる。
そしてクロードが食べているチョコを確認して一瞬顔をしかめた。
「そのチョコレート、お前が貰ったのか?」
「…………」
クロードは答えようとしない。
「ディアスに渡せなかったのか?」
今度は首を横に振ってボーマンの質問に応じる。応じながらもチョコを食べ続けた。
片割れを食べきってしまって、クロードはもう片方に手を延ばす……が、その腕をボーマンが止めた。
「やめとけクロード。それ以上食うな。」
「いいんです……食べないと………もったいないから…」
「ディアスに食べて貰わなくていいのか?」
咎めるようにボーマンが言う。
「僕は……ディアスなんか……好きじゃない…」
「………じゃあこの半分のチョコレート。俺が食っちまっってもいいのか?」
「え……あ……い、いいですよ、別に……」
少し戸惑いがちにクロードが答えた。
ボーマンはチョコに手を延ばし、端の方を小さく折り取る。そしてそれを口に運んだ。
その様子を見ていたクロードの胸が自分の意思とは逆にズキリと痛む。
「ふーん。本当にディアスのことはもういいんだな?」
ボーマンは悪戯っぽい笑みを浮かべてクロードに問い質す。クロードは不思議に思いながらも頷いた。
「クロード……」
ふいにボーマンがクロードの腰を抱き寄せる。
「ボッ……ボーマンさん!?」
「……俺な……前からお前が好きだったんだ…」
まるで独り言のように静かに呟くとボーマンはクロードの頬に片手をかけて顔を近づけてくる。
クロードはビックリしてボーマンから逃げようともがいたが、腰にまわしてある片腕の力が意外に強くて
上手く逃げられない。ボーマンの顔がどんどん近付いてくる。
「あ……嫌だっ!!ディアス助けて!!!!」
鼻先と鼻先が触れ合うくらいお互いの顔が近くなったところでクロードは思わず叫んでいた。
そしてはっとする。ボーマンはぱっと手を離して笑顔を作った。
「……やっぱりまだディアスが好きなんじゃないか。自分に嘘をつくのはよくないぜ?」
「…………」
「ほら、半分だけでも食べて貰ってこい!」
チョコの半分を無造作に箱に戻してボーマンはクロードに渡す。クロードは箱をじっと見つめた。
ディアスの姿がクロードの脳裏に浮かぶ。

チョコレートを渡したときの嬉しそうなディアスの顔が
 
『ありがとう…』って静かに言ってくれた声が甦る。

大好きな…ディアスの綺麗な顔が…声が……

「ごめんなさいボーマンさん。僕、行って来ます。」
「ああ、そうしとけ。」
クロードは箱を抱えて走っていった。
「……クロード…ホントに好きだった……」
クロードの姿を見送ってボーマンは呟いていた。そして「ニーネの次に、だけどな」と付け足した。

ディアスは自室でかなり沈んでいた。
「クロード……」
愛する人の名前を呟き、今度ばかりは完全に嫌われた、と溜息をつく。

 コンコン

そんなとき小さくノックの音がした。本当は誰とも会いたくない気分なのだが一応、鍵は開いているとだけ答えた。
ドアがゆっくりを開いてその先にいたのは、嫌われた筈の愛しいクロードの姿。
ディアスはビックリして目を白黒させる。
「ディアス……これ………」
「これは…さっきの…?」
「ごめん……僕が半分食べちゃったんだけど…」
ディアスが箱を開けると『だよ』とだけ書かれたチョコレートが入っていた。
ディアスは微笑み一口食べる。
「……旨いぞ、クロード。」
「ディアス……」
クロードはゆっくりディアスに歩み寄りおそるおそる抱きついて瞳を閉じる。
「ディアス、あのね…――――――」
クロードはディアスにしか聞き取れないような小さな小さな声で囁いた。
ディアスが明らかに狼狽する。
「クロード………」
ディアスはクロードの頬に優しく両手をかけて唇を……
「は……ふあ……」
「…クロード?」
「ハックション!!!!」
あ……そんな至近距離でくしゃみ……ιしかもクロードついさっきまで泣いてたのに………ι
「わーーーー!ディアスごめんっ!!」
「いや……気にするな…」
とか言いつつディアスの顔は少し引きつっている。
ごめんごめんとクロードは慌てて自分のハンカチでディアスの顔を拭いていた。
「ホントごめん――――…」
クロードはディアスの顔を拭き終わって、彼の胸元に顔を埋めた。
ディアスはクロードの頭を優しく撫でる。
「クロード……」
「ディアス……」
愛し合う二人は見つめ合い今度こそ、甘い口づけを堪能した……。
「クロード……愛している……」
「僕も……愛してる…」

   ――――間――――

「わーー!!やっぱりヤダーー!!!!」
 クロードは顔を真っ赤にして部屋を飛び出していった…。

ディアスが何をしようとしたかは皆さんの想像にお任せしよう(笑)

おわり

投稿日:2010-01-01 更新日:

-スターオーシャン
-

Copyright© 桜星 , 2024 All Rights Reserved.