スターオーシャン

確かな真実

ディアスへ

今日の夜、近くの河原で待ってます。
忘れてなければ来てください。

クロード

ディアスが剣の稽古を終えて部屋に戻ると、このようなクロードからの手紙があった。先程まで一緒に稽古をしていたのにいつの間にこんなものを置いたのだろうと不思議に思うディアス。
しかし、一番不思議に思ったことは、何故クロードがこの様な手紙を自分によこしたのかということだった。

晩の食事を終え、未だに不思議に思いつつもディアスは宿のそばにあった川の方へ足を運ぶ。エナジーネーデの人工の星がちらほらと確認できた。

 

「ディアス。…来てくれたんだね」
河原につくとクロードは何故か川の向こう側でディアスを待っていた。
「クロード、何故そんなところにいる?」
クロードは微かに微笑んでいる…。
「ねぇ、ディアス。もしも僕がこの川よりもっと、ずっとずっと広い川幅の向こう岸にいたらどうする?」
「…どうするって……」
「向こう側が、、まったく見えない、水平線みたいになっているような幅をした川の向こうにいても…、僕に会いに来てくれる?」
「何を言ってるんだ、お前は」
「たとえ…一年に一度しかあえなくても…。僕のこと好きでいてくれる?」

 

川…とは言っても小川の川幅が広くなった程度の浅い川である。
ディアスはしばらく黙った後、溜息をついてその川をざぶざぶと強引に渡っていく…

 

「どうしたんだクロード…。お前らしくもない…」
「ディアス……。。ねぇ…7月7日って何の日だか知ってる?」
ディアスの腕の中でクロードがぼそりと呟く。ディアスは首を傾げた。
「…僕の居た星の、ある国の民話にね。こんな話があったんだ…

   ―――――――

だから、織姫と彦星は一年に一度しか会えなくなっちゃったんだって。
その、一年に一度だけ、織姫と彦星が会える日が、7月7日。。
小さい頃に…母さんから聞いた話、なんだ」
「……そうか…」
「昨日の夜に…この人工の星を見てたら…何だか思い出しちゃって。
そんで、、ディアスだったら…短気だから一年したら僕のことなんか…嫌いになっちゃうかなって…思ってさ。」
クロードはそう言うとディアスの服をぎゅっと強く握りしめた。
ディアスは鼻で笑ってクロードの頭を撫でる。
「お前は本当に痴人だな」
「なっ…!」
「……たとえお前に二度と会うことがなくても…俺の心はお前だけの物だ…」
「………ありがと、ディアス。…僕も、、だからね…」

 

堤防に二人は座っていた。
人工の夜空を見上げていた。

「…キレイ……だね」
「…ああ、そうだな」
「………ディアスの横顔」
「は?」
クロードはクスクス笑ってディアスにもたれかかる。そして、空を見上げた。
「綺麗すぎて…僕には勿体ないかな?」
「やっぱりお前は度の過ぎた莫迦だな…」
「そお?」

  そんな僕のこと、好きなくせに…

  そんなお前が、好きなんだがな。

音にはならない会話。

だけど、

確かな真実......

 

「ディアス、何だか迷惑かけちゃって、ごめんな」
「気にすることはない」

 

二人の唇はどちらからとなく
自然に重る……

 

星が微笑みながらその様子を見守っていた…

投稿日:2010-01-01 更新日:

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