スターオーシャン

向日葵

「クロード…」

「…ごめんなさい…」

「どうして謝るんだ」
 

四つの場をクリアして、セントラルシティに戻ってきた一向に伝えられた真実は、あまりに突然で、あまりに辛い
ものだった。
唯一、パーティの中でエクスペル崩壊を知っていたクロードは、ただひたすら謝罪を繰り返す。
今クロードの目の前に立っている仲間には、大切な奥さんが居た。
レナも、セリーヌも、レオンも、大切な家族が居た。
でももぅ、その人達がこの世界からいなくなっていることを知っておきながら「きっと無事だよ」と…
言葉を発していたことも、ずっと言えなくて黙ってきたことも、クロードにとっては謝るべき事だった。
 

ホテルの部屋に着いても、クロードは謝ってばかりいる。

「だって…みんなの大切な人が…もういないって、僕分かってた。…それなのに…」

クロードは俯く。
ボーマンは溜息を一つついてクロードの横に腰を下ろした。

「しょうがないさ。そんな辛いこと…俺だってきっと言えない」
「…ボーマンさん…」
「それにだ。十賢者さえ倒せばエクスペルは元に戻せるだろう?お前が気に病むようなことは何一つ無いん
だ。な?」

ボーマンはなだめるように優しくクロードの頭を撫で、そっと震える肩を抱いた。

「……一番辛い思いをしていたのは…クロード、お前だろう?」
「え…?」

クロードは驚いた表情でボーマンを見上げる。ボーマンはクロードの顔を見ないまま続けた。

「真実を俺達に伝えるべきか否か迷っていた…それに…」
「……それに?」
「お前……ディアスといい仲だったんだろう?」
「!!」
 

 

誰よりも先に、愛する人の死を知っていた。
愛する人と、もう二度と会えないことを…ただ一人知っていた。
 

「たった一人で…真実と向き合うのは辛かったな」
「…………」
「…。泣いててもいいぜ。胸くらい、貸してやるから」
「うっ………ボーマンさぁんっ!!うわぁぁぁっ!!」

クロードはボーマンに縋り付いて泣きじゃくった。
“良かったよぉ”と譫言のように言葉を漏らしながら、ただひたすら泣きわめく。
ボーマンは目を閉じてクロードを優しく包み込んだ。

 

 

 
愛しい存在

君の心は俺のもとになくとも、俺は君を支えよう。

向日葵の茎がいつもそうしているように…

 

~Fin~

投稿日:2010-01-01 更新日:

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