冬の夜空は美しい。
たくましいオリオンの姿に憧れた僕は遅くまで外に出ていて昔はよく風邪を引いたものだった。
でもその星座も…このネーデでは見ることは出来ない……
星空の下
肌寒い夜。クロードは宿をこっそりぬけだして近くの丘の上に座り、星空を見上げていた。
知らない星の並び。この星座はかつて惑星であった頃のネーデで見えていた物なのだろう。この星々にも神々の挿話があるのだろうかとクロードは思いを巡らせる。
ごろりと仰向けに寝そべり、視界一杯に入り込んでくる人工の星空に溜息をついた。
「……こんなところで寝ていると風邪を引くぞ」
「え?」
突然上から声がして、視界を遮られた。
「…ディアス…」
「…急に居なくなって何をしているのかと思えば……」
「星だよ…。星を見てたんだ。…ごめん…心配かけちゃったね」
すまなそうな表情をして立ち上がろうとするクロードを制してディアスはその横に腰を下ろした。
クロードは嬉しくなってディアスに抱きつく。
「…ありがと…」
「………」
クロードが微笑むと、ディアスは微かに頬を桃色に染めて空を見上げた。クロードも空を見上げる。
二人だけのゆっくりとした時間が流れ、クロードは幸せを感じた。
ふと…ディアスの声が聞きたくなる。
「ねぇ……ディアス」
「ん?」
自分から呼びかけておきながらクロードはその次の言葉を発しようとはせずに、ただ赤い瞳を見つめ続けている。ディアスは自分を見つめる青眼の望みを察知してか、クロードの唇に触れるだけの優しい口づけを送った。
「…ディアス……僕のこと、好き?」
「…ああ、好きだ」
「……ディアスから言って」
「?」
いつも僕からだから…。貴方から言ってほしいの。
貴方の方から、自分を好きかと聞いて欲しい。
「クロード……」
「……」
「俺が、好きか?」
「もちろんっ」
この気持ちは決して変わらない。お互いに愛し合っている。
だから…決して過ちは犯さない。
二人誓い合う
星空の下