誰も信じない
誰も信じられない
信じたいのに
信じたいのに…どうして僕は信じようとしない?
「ディアス、もういいって。本当は僕のこと嫌いなんだろ?」
いつものクロードの言葉にディアスは厳しい表情を浮かべる。
こうして、クロードに触れようとするたびに彼はこの言葉を繰り返す。言葉ではディアスを拒絶しているのに瞳はいつも縋るようにディアスを見つめていて…。。
「…クロード…」
「僕はディアスが好きだよ。…でも…僕は男だもん。嫌だろ?抱いたって面白くも何ともないだろ?」
目を合わせようとせずに最後の方は吐き捨てるように、諦めたように呟く。…これもいつものこと。
ディアスは諦めたようにため息をついてクロードの金色の髪を優しく撫でるとクロードの体はびくりと強張る。
「まったく…お前は俺に何回言わせる気だ?」
「だって…信じられないんだも…」
台詞の途中でディアスはクロードの唇を塞ぐ。優しく静かに続く口づけにクロードの心は少しずつ癒されてゆく。
その証拠か、クロードはディアスの背に手を回して愛おしそうにディアスの体を抱きしめていた…
「んっ…あ、あぁっ…ディアスッ!!!」
「クロード…愛してるぞ」
絶頂を迎え自分に寄り掛かって気を失うクロードを抱きしめ、再びため息をつく。
何度伝えても信じてもらえない。ディアスは気が滅入りそうだった。
「…ディアス…」
気を失っている筈のクロードが名を呼んで、ディアスは驚いてクロードを見つめる。彼は涙を流しながら寝言のように呟いた。
「……僕を…信じて…」
「あなたを…信じたい…」