スターオーシャン

届かない

貴方のさらさらと流れる青い髪が好き。
貴方の燃えるように紅い瞳が好き。
貴方のたくましい腕が好き。
貴方の強くて華麗な剣技が好き。
貴方の優しい声音が好き。
全部、大好きだよ。

でもこの気持ちは、僕だけが知っていればいいんだ。
誰にも知られちゃいけないんだ…

今日は一日ファンシティでゆっくり休暇。
みんな嬉しそうに施設内に遊びに出て行く。
そんな中、僕は一人窓の外の彼らを眺めていた。

レナがディアスと一緒に仲良く歩いている。
朝、闘技場へ向かおうとしたディアスをレナが「たまには休まなきゃ駄目よ」と釘を刺し、引き留めたのだ。
ディアスは寝るのが好きだから、そのまま眠りに部屋に戻ってくるのかと思ったら…
どうやらレナとデートらしい。

…最悪。

レナがディアスの手を引き、彼は溜息をつきながらも満更ではないようで…。
その様子がさらに僕の心を苛立たせる。
僕は少々乱暴にカーテンを閉め、ぼすっとベッドの上にダイビングした。
同室のボーマンさんは昼間っからバーに飲みに行ってるから夜まで帰ってこないだろう。
今はこの部屋は僕だけの、独りだけの部屋。
僕は枕を抱きしめてはぁ~っと溜息を漏らす。

……最悪だよな、僕。

胸の奥の方がぎゅうっと痛くなってくる。

ディアスは僕のことを絶対に僕と同じ好きにはなってくれない。
たとえ彼が僕のことを多少なり好いてくれていたとしても、それはあくまで「ライバル」とか、そういう次元の話。

彼が本当に好きなのはレナだって。
聞いたから。
彼の口から
直接聞いたから。

僕がこの気持ちを意識し始めた頃に彼と同室になって。
ドギマギしてた僕に、彼は真剣な顔で言ったんだ。

『お前にレナは渡さない』

昔は大切な妹の一人としか思ってなかったらしいけど、一緒に旅をしているうちに別な意味の好きになったんだって。
だから、僕には負けないって。
僕は涙が出そうになるのを必死でこらえて言った。
『僕が好きなのは、別の人だよ』
コレが精一杯で、僕はベッドに潜り込んだんだ。あの日は朝まで泣いてたっけ。…ディアスに気付かれてなかったかな?

「僕が好きなのは、貴方だよ…ディアス」
あのとき言えなかった言葉を口に出して言ってみる。
途端に涙が沢山溢れてきた。

流れちゃえばいいのに。
涙と一緒に。
この気持ち、全部涙と一緒に流れて蒸発しちゃえばいいのにな……

ダイスキ

投稿日:2010-01-01 更新日:

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