あいつの顔が、声が、頭から離れない。
俺は……どうすればいい?
今日はファンシティで一日休日らしい。
本来ならばこんな所で遊んでいる暇は無いはずだ。それなのに…。
しかたがなかったので俺はクロードでも誘って闘技場に行こうとしたのだが…
「ちょっとディアス。また闘技場に行くつもりなの?」
「…そのつもりだが」
「ディアス…確かにこれからの戦いに向けて体を鍛えるのは悪い事じゃないわ。でもね、たまには休まないと体に悪いわよ?」
「……しかし…」
「………じゃあディアス、今日一日私に付き合って!」
「…は?」
「どうせ私がこう言っても、ディアス闘技場行くつもりなんでしょ? だったら、今日一日私と遊びましょうよ、ね?」
俺は思わずぎくりとした。
さすがに幼なじみであるレナには何でもお見通しらしい。
俺は溜息をついて仕方なく了承した。
ふと、視線を感じる。
振り返ると、ソファーの上でクロードが慌てて視線をそらしたところだった。
何故か、少し息苦しい。
レナの買い物などに付き合って歩いているうちに、いつの間にか俺は荷物持ちになっていた(汗)
どうやら上手く出しに使われたようで、俺は小さく舌打ちをする。
こんなことなら、やはり闘技場に行けば良かった。
楽しそうにファンシティ内のショッピングモールを見て回るレナを見下ろしながら溜息をつく。
こうして一緒に旅をするようになって、いつしか愛しいと思うようになっていたレナが、今は鬱陶しく感じる。大切ではあるし、守りたいとも思っているが…以前のような感情はもう無い。
あの夜から…何処かに消えた。
あの時のクロードの泣きそうな表情と声が忘れられない。あの夜は…クロードのすすり泣く音が気になって眠れなかった。
どうしてクロードが泣いていたのか、俺にはよく分からない。
だが…俺の心は、確実にあいつに傾いている気がする。
……ばかばかしい
男に惚れる男が何処にいる。
…クロード…
俺は、お前が好きなのか…?
...End