スターオーシャン

寂しいと思うことは贅沢ですか?

『貴方がこんなにも側にいてくれるのに、どうしてこんな気分になるのだろう…』

「どうしたんだ、クロード。今日はやけに静かだな」
 床に座り込んだクロードをそっと後ろから抱きしめたディアスは目を伏せるクロードに優しく囁いた。
「…そうかな?」
 小さく首を傾げてクロードはディアスの腕にそっと手を寄せる。その沈んだ声にディアスは眉根を寄せる。
「もうすぐあの十賢者と戦うんだぞ。そんなに腑抜けていてどうする」
優しく言ってディアスは愛しい恋人の頬に唇を寄せた。その行為にクロードの体がピクリと揺れる。
「うん…ゴメン、ディアス…」
自分を抱きしめている腕をぎゅっと握ってクロードは目を閉じた。
「痛いぞ、クロード」
「うん…ゴメン…」
我慢していたはずなのに、涙が零れる。
後ろから抱きしめられているせいで腕の自由が聞かなくなっていたクロードは涙を拭えず、ディアスの腕にそれはぽたりと落ちた。
「っ…ふ……ふぇっ…」
声を押し殺して泣き始めたクロードをディアスはただぎゅっとクロードを抱きしめるだけだった。
「…うっ……ディアスぅ……っく」
「…なんだ」
「あの…さ、戦いが……っ…終わっても…一緒に、いて、…くれるよね……?」
涙ながらに問い掛けてくるクロードに愛おしさを隠せない。
「…なんだ、そんな事気にしていたのか?」
「…そんな事って……」
ショックを受けたような表情をするクロードに向き直り、そっと涙を拭ってやる。
「俺は、お前が側にいない人生なんて考えられんな」
言ってからさすがに恥ずかしくなったのか、ディアスは赤い顔を見られないようにクロードを再度胸の中に抱き込んだ。
「お前は…そうじゃないのか?」
「……そう…うん、僕もだよ…ディアス…」
涙が止まらなかった。
痛いほど愛されているのに暗鬱な気分が晴れない自分がひどく憎らしかった。

END

投稿日:2010-01-01 更新日:

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